今やランドセル市場のおよそ7割を占めていると言われている素材「クラリーノ」。一方で根強い人気の天然皮革素材のランドセル。今回は、この人気素材を徹底的に比較していきますので、お子様に合うランドセルの素材はどちらが良いのか…検討していただく上での参考にして頂けたらと思います。
コンテンツ
1. クラリーノと天然皮革
はじめに、クラリーノと天然皮革の基礎知識のおさらいをしておきましょう。
< クラリーノの基礎知識 >
天然皮革に対し、化学繊維で作られた人工皮革の中で、最もランドセルに使用されているのがクラリーノです。
軽くて機能性も高いクラリーノはランドセル素材として最適で、多くのメーカーがクラリーノのランドセルを扱うようになり、今ではクラリーノが主流となっていると言っても過言ではないでしょう。
< 天然皮革の基礎知識 >
天然皮革とは、動物の皮に“なめし”などの工程を経て加工した革のことです。ランドセルに多く使用されている天然皮革には「牛革」や「コードバン」といった革が挙げられます。「牛革」は牛の皮が原料となっている革で、「コードバン」は馬のお尻の皮が原料となっています。
どちらの天然皮革もランドセルの素材として世代を超えて古くから愛用されており、本物の持つ風合い・美しさはいつの時代になっても風化することは無いでしょう。
2. クラリーノと天然皮革を徹底比較!
クラリーノと天然皮革、それぞれにメリット・デメリットがあります。
ここでは「クラリーノ」「牛革」「コードバン」の3点を徹底比較していきますよ!
2-1. クラリーノと天然皮革のメリット・デメリット
< メリット >
- クラリーノ
- 軽い
- 手入れが簡単
- 安価
- デザインが豊富
- カラフルなものが多い
- 型崩れしにくい
- 雨(水)に濡れても大丈夫
- 出回っている数が多いので選択肢も多い
- 牛革
- 使い込むほどに味わいが出てくる
- 身体に馴染みやすい
- 丈夫
- 縫製がしっかりとしている
- 多少乱暴に扱っても壊れない(型崩れしない)
- 傷に強い
- ベーシックなデザインが多い
- 品格がある
- コードバン
- ランドセル界の最高級品
- 牛革の4倍の強度
- 身体に馴染みやすい
- 傷に強い
- 光沢が美しい
- 他には出せない魅力的な風合い
- 使い込むほどに美しさが増す
- 型崩れしない
- 高級感に加え重厚感もあり、革製品としての成長も楽しめる
< デメリット >
- クラリーノ
- 傷がつきやすい、壊れてしまう事もある
- 使い込むとくたびれた感が…
- 天然皮革と比べると安っぽい
- 牛革
- 手入れが少し面倒
- 雨(水)に弱い
- 湿気を含むと傷みやすい
- 重みがある
- やや高額
- コードバン
- 重たい
- 在庫が少ない(早めの予約が必要)
- 手入れが面倒
- 雨(水)に弱い
メリット・デメリットを挙げてみましたがいかがですか?
少し分かりやすいようにランキング形式でまとめてみました。
2-2. クラリーノと天然皮革のランキング
2-2-1. 雨(水)に強いランキング
1:クラリーノ 2:コードバン 3:牛革
※補足
雨や水に対して弱い天然皮革ですが、近年では防水加工・撥水加工が施されている天然皮革も多く出てきています。とはいえ、もともとは水に弱い製品ですので濡れてしまった場合は乾いた布で拭き取るようにしましょう。放っておくとシミや汚れの原因になってしまいます。
2-2-2. 傷に強いランキング
1:コードバン 2:牛革 3:クラリーノ
※補足
本来、傷に弱いとされていたクラリーノですが、傷に強いタイプのクラリーノ(クラリーノタフロック)も開発されています。しかし、傷に強くなることと重さが比例しているようなので、傷に強いタイプのクラリーノ程、重たくなっているようです。
牛革の傷に対しての強さもなかなかですが、コードバンはその牛革を4倍も上回る強度を誇っていますので、ほぼ無敵状態です。
2-2-3. お手入れ簡単ランキング
1:クラリーノ 2:牛革 3:コードバン
※補足
天然皮革にはお手入れが付き物です。水から保護するためや乾燥による硬化防止のために、専用のクリームやオイルを定期的に塗布しておく必要があります。せっかくの天然皮革のランドセルを台無しにしない為にも、本革ならではの美しさを保つためのケアは怠らないようにしましょう。
また、近年は「お手入れ不要」の天然皮革ランドセルも登場していますので、個々の選んだランドセルの素材に合わせたケアをするようにしてくださいね。
2-2-4. 楽々背負えるランキング
1:クラリーノ 2:牛革 3:コードバン
※補足
ズバリ、重さでランク付けをしました。軽い素材が1位、重たい素材が3位という事です。しかしながら、最近の天然皮革も加工技術が進み、軽い天然皮革も出てきています。ちなみに、クラリーノのランドセルは平均1100g、牛革のランドセルは平均1300g、コードバンのランドセルは平均1400gです。200〜300gの差ですので、約教科書1冊分の重さの違いです。この数値を気にするかどうかはお子さんの体格・体力に合わせて選びましょう。
2-2-5. おしゃれランキング
1:クラリーノ 2:コードバン 3:牛革
※補足
上記はあくまでお子さん目線でのランキングです。最近よく見かけるカラフルなランドセルや、刺繍やキラキラ光るストーンやビジューなどが施されたランドセルはそのほとんどがクラリーノ製です。加工のしやすさは人工皮革の良いところですね。しかし、当然のことながら凝った刺繍やデザインになればなるほど価格の方も上がっていきます。
天然皮革のランドセルも以前から比べたらデザイン的にも進化してきていると言えます。天然皮革のシンプルでシックな感じが好きな人もいらっしゃいますので、ただ単に好みによるところでしょうか。
2-2-6. 耐久性抜群ランキング
1:コードバン 2:牛革 3:クラリーノ
※補足
衝撃に強いか、丈夫さ、型崩れしないか…など総合的に見てのランキングです。やはり天然皮革の丈夫さ、は6年間元気いっぱいに使いこなしたとしてもへこたれません。一方、クラリーノは傷に弱い、潰れてしまうといったイメージがあるかと思いますが、年々改良を重ね、進化しているというだけあって6年間使える強度を十分に備えている商品がほとんどです。
3. クラリーノと天然皮革の特徴を表にまとめてみた
素材 |
重さ |
質感 |
強度(耐久性) |
防・撥水性 |
手入れ |
価格 |
クラリーノ |
★★★ |
★ |
★ |
★★★ |
★★★ |
★★★ |
牛革 |
★★ |
★★ |
★★ |
★ |
★ |
★★ |
コードバン |
★★ |
★★★ |
★★★ |
★ |
★ |
★ |
これまで比較してきたものを表でまとめてみましたが、いかがですか?
この表からもお分かりいただけるかと思いますが、どちらの素材を選んでも一長一短、それぞれの良さがあって本当に悩んでしまいますよね。
親の思いと子どもの思いもまた違うようで、なかなかスムーズにランドセルを決められないというのも仕方がないような気もします。
しかし、これだけはハッキリと言えるのは…
- デザインやカラー、手入れのしやすさで選ぶなら、クラリーノ製
- 丈夫さや風合い、質感で選ぶなら天然皮革製
という事です。もしも、お子様が元気いっぱいでランドセルを少々乱暴に扱ってしまうようなタイプでしたら天然皮革のランドセルをお勧めしますし、カラフルなものやデザインにこだわるようでしたらクラリーノのランドセルをお勧めします。
いずれにしても、6年間毎日使うものですので親も子もお気に入りのランドセルで毎日元気よく学校へ通ってほしいと思います。